「心の一新によって」
聖書：ローマ人への手紙１２章１-２節（新p３１７）
メッセンジャー：高江洲伸子師
ローマ人への手紙12章1,2節は礼拝と献身について書かれています。横浜栄光教会の方針は、「礼拝を中心とした基本的クリスチャン生活の確立」ですが、「礼拝と献身」これは、神学的に最も深遠な課題とされているものです。けれど、ここを避けて信仰生活の本質を知ることはできません。
まことの礼拝
私たちは「霊」ということを重要視するものの、なぜか「からだ」は卑しいものと思いがちです。けれど、コリント人への第一6章19節では「あなたがたのからだは、あなたがたのうちにおられる、神から受けた聖霊の宮であり」と書かれていますから、身体は聖霊の宮であり、聖霊の働く尊い器なのです。御子イエスも、マリアのお身体に宿られました。霊なる神が人間のからだをとってその中に生き、からだを通して働かれたのです。
使徒パウロは、ここローマ人への手紙の中で、「兄弟たち、私は神のあわれみによって、あなたがたに勧めます。あなたがたのからだを、神に喜ばれる、聖なる生きたささげ物として献げなさい。これこそが、イエス・キリストの命によって、罪から贖われた者にふさわしい礼拝です。」（12:1）と書いています。ここでの「からだ」を「あなたがた自身」と訳している英語の聖書（NEV）もあるとこから「からだ」は、私たちの全存在を意味しているとも理解できます。肉体のない「私」が存在しないように、自分自身をささげるということは、肉体もろとも主にささげるという具体性を伴うものなのです。
また、「聖なる生きたささげ物として献げなさい」に対して、昔の死んだ犠牲の動物が思い浮かばれますが、もうそのような供え物は不必要になりました。御子の十字架の贖いの供え物により他の犠牲の供え物は必要がなくなったのです。生きているわたし自身をささげることが、「罪から贖われた者にふさわしい礼拝」(1)であり、真の献身です。これに関連して、使徒パウロは6章13節で「また、あなたがたの手足を不義の道具として罪に献げてはいけません。むしろ、死者の中から生かされた者としてあなたがた自身を神に献げ、また、あなたがたの手足を義の道具として神に献げなさい。」とも言っています。
そこで、続く12章2節を見てみましょう。
心の一新によって造り変えられる
「この世と調子を合わせてはいけません。むしろ、心を新たにすることで、自分を変えていただきなさい。そうすれば、神のみこころは何か、すなわち、何が良いことで、神に喜ばれ、完全であるかを見分けるようになります。」(2)
「この世と調子を合わせてはいけません」の「この世」は、罪の世のことです。
キリスト者は罪の支配するこの世から贖いだされ、神の御支配の中に入れられた者です。国が違うと憲法も違いますが、同じ世界に住む者には類似点があります。そのように、どの国に属するかによって、その人を支配する原理（憲法）は異なってきます。キリスト者は神の国の支配原理（憲法）によって生きるので、この世の憲法とは相いれません。（両立できません）。
それだけでなく、キリスト者は、「心を新たにすることで」、「造りかえられ」(口語訳)てゆき、神の国の住民に相応しい者と変貌されてゆきます。神様の御前に献身を新たにするとき、聖霊によって神に関する世界が新たに開かれてゆきます。そうして、内側から変化が起こり、心が変えられてゆき、「神のみこころは何か、」「何が良いことで、神に喜ばれ、完全であるかを見分けるように」なります。内側が造りかえられることによって、外面的な生活様式までも変化してくるだけでなく、神のみこころを判別することができるようになると言うのです。
コリント人への第二の手紙５章17節、「だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。」ここにキリスト者の出発点があります。キリストにあって新しい生き方をする者に向かって使徒パウロは、「この世と調子を合わせてはいけません。むしろ、心を新たにすることで、自分を変えていただきなさい。そうすれば、神のみこころは何か、すなわち、何が良いことで、神に喜ばれ、完全であるかを見分けるようになります。」(2)と勧めているのです。
＜補足/神のみ旨の判断材料＞
神のみ旨は御霊によって知ることができる(Ⅰコリント2:10-16)。 神への愛の成長の程度に従ってみ旨を知る程度も深まる(ピりピ1:9,10)。霊的な知恵と理解力の成長に伴ってみ旨を深く知るようになる（コロサイ1:9,10）。御霊と愛に満たされ、神との交わりを密にするとき、神のみ旨の深さがますます明らかにされてゆく（エペソ5:17,18）。
神のみ旨は、善、喜び、全きものであり完全。それ故、信じて従って行くものを全うさせて下さる。心の変貌はこの神のみ旨を知るためのもの。
