12月4日礼拝メッセージ

「神の恵みを受けた母マリア」

聖書:ルカの福音書1章26-38節(新p107)

メッセンジャー:高江洲伸子師

アドベント2週目を迎えました。先週は祭司ザカリア夫妻に成された主の御業を通して、神の言葉は「その時がくれば実現する」ことを知りました。今朝は、イエス・キリストの母マリアを通して主の御業を拝させて頂きましょう。

Ⅰ. マリアの戸惑い
この時のマリアの年齢は、時代的、民族的背景から、12-15才位の少女だったと想像できます。まだ幼さの残るマリアのもとに天使は訪れて、「おめでとう、恵まれた方。主があなたとともにおられます。」(28)と告げました。ここでの「おめでとう」は「こんにちは」とも訳せる挨拶のことば。大切なのは「恵まれた方」。「神から恵みを受けたのです。」(30)。この時のマリアは、「このことばにひどく戸惑って」(29)いる。戸惑うマリアに天使は、懐妊と御子の誕生を(31-33)告げる。恐らく、この時マリアは天使の言っていることばの意味もわかっていなかっただろう。彼女の口から出た言葉は、「どうして、そのようなことが起こるのでしょう。私は男の人を知りませんのに」(34)。そのマリアに御使いは、「神にとって不可能なことは何もありません。」(37)と説得する。その事が成る裏付けと保証は35節の「聖霊があなたの上に臨み、いと高き方の力があなたをおおいます。それゆえ、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれます」、聖霊の力。イザヤ書9章7節では「万軍の主の熱心がこれを成し遂げる」とも書かれている。

Ⅱ. 恵みを受けるとは
「神から恵みを受けたのです。」(30)の意味は「聖霊があなたの上に臨み、いと高き方の力があなたをおおいます」(35)ということ。
例えば「バベットの晩餐会」(著者カレン・ブリクセン)。
侘しいユトランド(デンマーク領・ドイツ領)地方に牧師の父を亡くし、細々と教会を守っている姉妹たちがいた。そこへ、フランス革命で夫も子どももなくした元パリの有名レストランの料理長をしていたバベットは移り住む。バベットは、牧師館の食事作りの世話をしていたが、ある日宝くじがあたり、考えた末、牧師の生誕百年記念祭に自分を受け入れてくれている姉妹たちにプレゼントをしようと、晩餐会を計画する。彼女はフランスまで行き、沢山の高価な食材を買って、船でこの町に持ち運び、デンマークの寒村の人たちがまだ見たこともない料理を振る舞う。ところが、その晩餐会に先立って、姉は魔女となったバベットの料理を食べた人が次々に倒れていくという夢を見る。
晩餐会当日、食卓は見事なフランス料理が並んだが、初めて食べる料理を誰一人美味しいとは言わない。料理の話は口にしないことになっていたのだ。ところが、その席にいた将校は、ウズラのパイを食べて、若い頃パリの高級レストランでしか食べれなかった同じ味のするパイを思い出し、デンマークの片田舎で同じパイが食べれたことに感激して、パリのレストランの話をし始めた。そして、集まってきた人たちもまた見事な味わいを堪能し、そのすばらしさを歓待するようになっていく。彼らはそれまで、その料理のありがたみもすばらしさも全くわからないで食べていたのだ。
この村人は神の恵みを受けて不安におののくマリアと同じと言える。神から恵みを受けるすばらしさよりも、理解できない分とまどいの方が強い。「あなたは神のめぐみを受けました」と言われても何のことかわからない。「聖霊があなたに臨む」と言われても理解できず恐れを抱くばかり。それはまた出された晩餐会の食事を有難いとも、美味しいとも言わず、魔女の料理かもしれないと疑いつつ黙ったまま食べていた村人のようでもある。
私たち人間は、神が差し出される人生の食事とも言えるアレコレをただ不安に思いながら黙って食べていることもできれば、差し出された一つ一つに神の采配と導きを感謝受けることもできる。そして、美味しい豊かな食事が私たちを元気づけ勇気づけるように、神が差し出すものを感謝して受けるとき、聖霊は、その一つ一つに神の栄光を現わしてくださるのだ。

Ⅲ. マリアは神から差し出された神の恵みを受け取った。
「ご覧ください。私は主のはしためです。どうぞ、あなたのおことばどおりに、この身になりますように。」(38) 従順は神の恵みの御業の導火線。不安を退け、過酷とも思える神のことばをマリアは受け取った。そこから、神の遠大な救いの御計画は一つ一つ時々刻々成就してきて今に至っている。ともすれば、私たちは自分の将来、自分の行く道、自分の立場を考え、また迷信なども混ぜ合わせて自分の得になる方を選びゆく。けれど、大損したかのような神が差し出されるものを受け取るとき、聖霊はそこに栄光を現わされ不可能は可能になってゆく。

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