6月15日 礼拝メッセージ

メッセージ 『神の最善』 -最善以下をなされない神-

聖書 ピリピ人への手紙 1章12-21節(新p394)

メッセンジャー 高江洲 伸子 牧師

福音は生きています。主イエスがご昇天の際言われた「聖霊があなたがたの上に臨むとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、さらに地の果てまで、わたしの証人となります。」(使徒1:8) このみことばは、生きていて、今も信じて従う人と共に働いて福音の良き実が結ばれていっています。しかも、どのような困難な状況の中でも、その困難さえも用いて福音は前進するのです。使徒パウロは、投獄という最悪条件の中で、むしろ福音は前進したと証ししています。

Ⅰ 何が福音を前進させたか
 パウロは「わたしの身に起こった事」、つまり、彼の投獄が「かえって福音の前進に役立った」(12)と言っています。ローマの獄中から発信された、福音の前進ぶりを13節以下から見てゆきましょう。
① 兵営全体に福音は前進した。(13)
「私がキリストのゆえに投獄されていることが、親衛隊の全員と、・・・に明らかになり、」(13)と書かれているように、福音の前進はまずパウロを監視していた一番身近な兵隊に及んでいきました。監視兵は一人で六時間パウロを監視している中で(結果的に)福音を聞くことになり、(カイザルの)親衛隊の中からもイエス様を信じる人たちが沢山起こされたのでした。
② ローマ市民に福音の中に福音は前進した。(13)
「ほかのすべての人たちに明らかになり、」(13)ともありますように、福音はローマ市民にまで及んでいきました。使徒行伝によれば、一歩も外に出れなかったパウロのところに日を定めて大勢の人がつめかけています(使徒28:23)。美しい花やおいしい実がある木の下に自然に人々が行き来して道ができるように、パウロの牢獄へと道が通じていったのでした。
③ 教会の兄弟姉妹に福音は前進した。(14)
福音は外に向かって前進したばかりか、教会内にも前進したのです。兄弟たちの大多数は、「私が投獄されたことで、主にあって確信を与えられ、恐れることなく、ますます大胆にみことばを語るようになりました。」(14)とパウロは言っています。迫害や困難な状況の中で恐れず福音を証ししているパウロに、ローマ教会の兄弟姉妹は励まされて霊的確信が強められてゆきました。
④ 敵対している人たちに福音は前進した。(15-18)
驚くべきことには、パウロの宣教に反対している人たちへも福音は前進していきました。日頃からパウロの宣教をよく思っていなかった人たちが教会の中にもいましたが、その人たちは反抗心と誤った熱心さをもって人々の強化にあたり、パウロの投獄の間に勢力を拡大し、宣教の主導権を握ろうとしていました。また、一方では、善意と愛と真実をもって宣教に当る人がいたのに対して、他方ではねたみや闘争心、不順な心や党派心、また見栄と悪意とをもって伝道していた人もいました。しかし伝えられているのはキリストであるとして、パウロはこれさえも福音の前進と受け止めたのです。
 
 「私は福音のためにあらゆることをしています。私も福音の恵みをともに受ける者となるためです。」(Ⅰコリント9:23)と言って憚らないパウロでしたから、自由に自分の足で大通りに出ていって福音を伝えたかったかもしれません。けれども、神様がパウロを通してなされたローマでの宣教方法は、獄に繋がれ、一歩も外には出れない中での宣教でした。しかも、パウロ自身、むしろ獄中における宣教がかえって福音の前進に役立ったと言うのです。神様は私たち一人一人の日々のできごとに対しても、決して最善以下をされることはありません。時には、自分にとって不都合で不本意なことが、むしろ、福音の前進に役立つことがあることをパウロは獄中から私たちに語りかけています。

Ⅱ 福音の前進の秘訣は何か 
では、投獄という苦難の中にあって福音が前進していった秘訣は何だったのでしょうか。
第一に、聖徒たちの祈りです。「というのは、あなたがたの祈りとイエス・キリストの御霊のささえによって、私が切に期待し望んでいるとおりに、このことが結局はわたしの救いとなることを知っているからです。」(19) この祈りがパウロに救いをもたらしたとパウロは言うのです。パウロにとって、背後のとりなしの祈りこそが福音の前進の原動力だったのです。
第二に、御霊の助けです。(19) イエス・キリストの御霊こそ聖徒の祈りを助け、力づけます。御霊はオーケストラの指揮者のように諸聖徒をまとめて一つにし、尊いとりなしの祈りのわざに当たられるのです。        

参考図書 工藤弘雄著「キリストはすべて」

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