「新しい人の生き方」
ーエペソ人への手紙(10)ー
聖書:エペソ人への手紙4章25-32節(新p389)
メッセンジャー:高江洲伸子師
教会は決して御使いたちの集団ではなく、罪赦された罪人たちの群れ。無意識であれ、意識的であれ、クリスチャンが罪を犯す機会もまた多いことを心に留めなければならない。「ですから」(25)、口語訳聖書では「こういうわけだから」と、新しき人の実際的な生き方についてパウロは具体的に述べる。
偽りを捨て…真実を語りなさい (25)
「偽りを捨て」の「捨て」は古き人を「脱ぎ捨て」と同じ原語。「古い人を…脱ぎ捨てること」は転機的な一回の行為。「偽りを捨てて」は継続的行為。私たちの主イエスは「その口には偽りがなかった」(Ⅰペテロ2:22)口語訳。「偽りは悪魔の代名詞であり、真実は神の人の商標です。器官は互いに助け合います。」と、工藤著「高度を上げよ」は記す。偽りが教会に入って来ると、教会がどんなに人を楽しませていたとしても、キリストの御体、神の宮としては機能できない。「ですから、あなたがたは偽りを捨て、それぞれ隣人に対して真実を語りなさい。私たちは互いに、からだの一部分なのです。」(25)
怒っても、罪を犯してはなりません。 悪魔に機会を与えないように(26、27)
「怒りそのものは、初め相手を憎むことにはならないかもしれない。しかし、その怒りはやがて相手に対する憎しみと変わっていくから不思議である。自分がなぜ怒っているか、また相手がなぜ自分を怒らせるようなことをしたのか。その原因を早くから明らかにして問題を解決することは、相手にとっても自分自身にとっても大切なことである。そのまま放置して、怒ったままにするならば、『悪魔に機会を与える』(27)ことになる。お互いが損なわれた関係を回復するために努力することが必要である。赦しに関して主は、七度を七十倍にするまで赦しなさいと教えておられる(マタイ18:22)。十字架の犠牲を思えば、赦せない問題などあるはずはない。」新聖書講解シリーズ8p157-158。ウエスレ―は「罪を怒ることは悪ではない。しかし罪と共に罪人に対しても怒るなら罪を犯すのである。」と言った。罪以外のものを憎まず。たとえ怒ることがあっても、罪を犯してはならない。(共に自戒したい)
もう盗んではいけません。…労苦して働きなさい (26)
パウロが手紙を書いた当時の奴隷関係や、奴隷と所有者との関係などを考えると、主人は奴隷の基本的人権を奪っている上に、実際的にもその自由と労働力を独占していた。一般の社会でも盗みや詐欺などの行為が習慣化していた。けれど、それは当時のことに限らない。今日世界的に増え広がっているハッカー行為や詐欺集団はそれを十分に物語っている。私たちキリストに在る者は、景気の良い時も、悪い時も、それが何であれ、他人のものやまた神様のものを盗んではならない。「骨身惜しまず働く者に、盗むという病的精神は宿らない」とは小島伊助師。
苦しい時代の到来を予感し、時に貧困のさ中にあっても、神は必要を満たされるという信仰一途に走り切れないものだろうか?
悪い言葉を…口から出してはいけません。…人の成長に役立つことばを(29)
「さらにパウロは『悪い言葉を。いっさい口から出してはいけません』と言って、対人関係の基本的な態度について戒めている。自分の不満を解消するために悪いことばを用いるのではなく、むしろ『人の成長に役立つことば』をもって、他者に恵みを与えることが、私たちクリスチャンには求められているのである。私たちが、この一事だけでも忠実に守るならば、教会内の問題の大部分は解消し、社会に対するあかしも、もっと有効なものになると確信する。この勧めに従い、自らの生活やことばをもってキリストをあかししようではないか。」新聖書講解シリーズ8p158-159 加えて、ヤコブ書3章をも必見!
聖霊を悲しませてはいけません…聖霊によって証印を押されているのです(30)
こうした新しい人の生き方を私たちが実行するために、力を与えて下さるのが聖霊である。しかし、私たちの内に宿り、真理の光によって私たちを支配してくださる聖なる御霊の導きを、もし無視し続けるならば、「神の御霊を悲しませる」だけでなく、やがては聖霊の臨在を失ってしまうことになる。ウエスレ―は「憂えしめない聖霊の臨在は億万のドルに勝る」と言った。私たちの思い、言葉、行動が聖霊を悲しませているか、いないか、新しい人生き方の基準がここにある。
一切の悪意とともに、すべてを捨て去り…赦し合いなさい。(31,32)
私たちは神の民としての名をいただいているのだから、名前と実質とがあまりにもかけ離れた生活をすることは虚偽である。少なくとも教会内からは「一切の悪意」をなくし、親切、優しい心、赦しが行き渡るようにしたい。聖霊の助力は必須である。
参考図書 工藤弘雄著「高度を上げよ」 新聖書講解シリーズ8