6月4日礼拝メッセージ

「福音に仕える者」

ーエペソ人への手紙(5)ー

聖書:エペソ人への手紙3章1-13節(新p386)

メッセンジャー:高江洲伸子師

1節 ローマの獄中で

エペソ、ピリピ、ピレモン、コロサイ人への各手紙は、パウロがローマの獄中で書いた「獄中書簡」です。ピリピ3:13でパウロは自分ことを「キリスト・イエスが私を捕らえてくださったのです。」と言っています。このエペソ人への手紙では、皇帝ネロに捕らえられたネロの囚人でありながらも、敢えて「キリスト・イエスの囚人」と言うのです。それだけでなくパウロは至るところで「キリスト・イエスのしもべ」を自称し、コリント人への手紙第二では、「あらゆることにおいて、自分を神のしもべとして推薦しています。すなわち、苦難にも苦悩にも困難にも、…また、ほめられたりそしられたり、悪評を受けたり好評を博したりすることによって、自分を神のしもべとして推薦しているのです。」(4-8)と、日々起こってくるすべての出来事を通して、神のしもべであることを証しするのです。

 

2-7節 明らかにされた奥義

3節から5節までに「奥義」という言葉が連続して出て来ます。「奥義」は、他の聖書では、「秘密」「神秘」「秘められた計画」と訳される言葉です。

3節で「奥義」について、「先に短く書いたとおり」と書かれていますが、1章8-12節に、「その奥義とは、キリストにあって神があらかじめお立てになったみむねにしたがい、時が満ちて計画が実行に移され…すべてをみこころによる計画のままに行う方の目的にしたがい、あらかじめそのように定められていたのです」(1:9,11) と詳しく書かれています。

この「奥義」は、イエス・キリストの到来の時をもって現実となり、「異邦人も共同の相続人となり」(6)ユダヤ人も異邦人も「ともに同じ(キリストの)からだに連なって」(6)、「ともに約束にあずかる者」(6)とされたことと共に、それら一切は、「みこころによる計画のままに行う方の目的にしたがい、あらかじめそのように定められていたのです。」(1:11)とパウロは言うのです。

 

ユダヤ人の選民意識は、異邦人の私たちには測り知ることができないほど重く深いものがあります。そのようななかで、異邦人が選民ユダヤ人と共同の相続人になり、ともに約束にあずかる者となるということは、当時のユダヤ人にとっては、寝耳に水、到底受け入れられるものではありませんでした。それ故、異邦人が神様から同じ恵みを受けるというパウロの主張は、ユダヤ教徒から見れば異端に等しいものだったのです。そのような中でパウロは怯むことなく、ユダヤ人と異邦人の仲介者として「私は、神の力の働きによって私に与えられた神の恵みの賜物により、この福音に仕える者になりました。」(7)と宣教者の立場を譲りませんでした。

8-13節 「福音に仕える者」使徒パウロ

 かつては、ステパノの殉教に賛成し(使徒8:1)、殉教の場にいたパウロ(使徒7:58)でした。また、弟子たちを殺害しようと息巻いていたパウロでした(9:1,2)が、ダマスコ途上で天からの光に照らされ時、彼は完全に変えられたのです。(9:3-9)。迫害者パウロは、福音宣教者パウロとされたのです(7)。

それからのパウロは、新約の教会のリーダーとして用いられましたが、彼はどこにあっても、自分自身を「すべての聖徒たちで、最も小さな私」(8)と言って憚りません。人は誰でも神との出会いを体験すると、岩のような心も砕かれ、謙遜になり、神の使命の道を歩き始める恵みに与ります。パウロは変えられた恵みをもって、「この恵みが与えられたのは、キリストの測り知ることのできない富を福音として異邦人に宣べ伝えるため」(8)「また、万物を創造された神のうちに世々隠されていた奥義の実現がどのようなものであったかを、すべての人に明らかにするためです。」(9)と福音宣教者として使命の道をまっすぐに歩き始めます。イエス・キリストの到来は新しい世界を来たらせ、イエス・キリストに出会った人は、人生に導かれてゆきます。(コリント人への手紙第二5:17)

 

新聖書講解シリーズエペソ書で佐布正義師は次のように記しています。

―キリストにあってさまざまな異邦人が神の家族に加えられるという雄大なドラマは、時間を超越した方のシナリオに基づいて、今、この時間の中で展開されている。このドラマの舞台は地上であるが、空間を超えた所で見守っている者がいる。それは。「天にある支配と権威」(3:10)である。…それぞれの地域の教会の働きはたとえ小さくても、また個々のクリスチャンの担う働きは目立たなくても、はるか天界にこの働きを見守る者がいる。そしてこの計画の完成時には、「天にあるものも地にあるものも、いっさいのものが、キリストにあって一つに集められる」ことになっている(1:10)。私たちは、こうしたスケールの大きな働きに参与しているという自覚を持って、さらに励みたいものである。―

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