8月28日礼拝メッセージ

 マルコに学ぶ⑬ 「十字架への道Ⅱ」

聖書: マルコの福音書9章2-10節(新p84)

メッセンジャー:高江洲伸子師

 山上の栄光
イエス様がペテロ、ヤコブ、ヨハネの三人だけをつれて、高い山におのぼりになった時、突然そのお姿がかわり、そのみ衣は真っ白に輝きました。するとそこに旧約聖書の預言者エリヤとモーセが現れ、イエスと語り合っていました。弟子たちは、この不思議な現象を目の当たりにして、驚き恐れ、言葉にならない感動に包まれて、いつまでもそこにいたいと願いましたがゆるされませんでした。信仰生活は、決して、日常生活の煩わしさしさから逃れて、宗教的な気分に浸ることではありません。イエス様は山から下りながら、弟子たちに「人の子が死人の中からよみがえる時までは、今見たことをだれにも話してはならない、」(9)と命じられました。ルカの福音書では、モーセとエリアは「イエスがエルサレムで遂げようとしておられる最期について、話していたのであった」(9:31)と書かれています。これは、新旧聖書が示しているのは、まさに御子に十字架にあることを示しています。(※参考ルカ9:36)
山麓の悲惨
山を降り、麓にいた他の弟子たちの所に来てみると、そこには大変な騒ぎが待っていました。彼らはたちまち、厳しい現実に引き戻されたのです。一人の父親が、悪霊につかれた息子を弟子たちのところに連れてきていましたが、そこにいた弟子たちは、その息子を癒すことができないでいました。この有様をご覧になったイエス様は、人々の不信仰をお嘆きになりました。
近代科学は、私たちを魔力から解放したかのように思われがちですが、どんなに文明が進んでいったとしても、人間の力ではどうにもならない出来事が後を絶ちません。最近再び取沙汰されている異端的宗教の問題。アニメの世界やテレビのドラマ等でも非常に奇異な現象で人々の好奇心を引こうとしています。まるで、人類全体を霊に取りつかれた子どものように、引き倒そうとしています。「なぜ人を殺してはいけないのか」という本が出版されるのが現代の有様です。こうした現象は、政治や教育医療が進んでも、人間の力で解放されるものではありません。(エペソ6:12)
信仰によらなければ
弟子たちは悪霊につかれた息子をどうすることもできず、イエス様のもとに連れられてきました。その時、父親は「しかし、おできになるなら、私たちをあわれんでお助けください。」(マルコ9:23)と言いました。この父親の、なかばあきらめ、なかば期待するような願いに対して、イエス様は「できるならと言うのですか、信じる者には、どんなことでもできるのです。」(23)とお答えになりました。「できるなら」ではなく、「かならずききとどけられる」と信じて祈るのが、すべての不可能を可能にする、本当の祈りです。祈りがきかれないように思われるのは、神が無力だからではなく、私たちに、この信仰がないからです。現代の世界が必要としているものは、このような信仰による祈りです。するとすぐに、その子の父親は叫んで、「信じます。不信仰な私をお助けください」と言いました。ルターの宗教改革の合言葉は、「信仰のみ」でした。信仰は全てのことを可能にし、変えることができます。
しかし、私たちは、神の助けなしには信じることもできません。イエス様を、「あなたはキリストです」と告白したペテロに対して、マタイ16:17では、「あなたにこの事を現したのは、血肉ではなく、天にいます私の父である」と書かれています。これからの歩みに於いても、次々と起こってくる問題や迷い悩むことに対しても、私たちが神の助けを祈り求めて行く時、天の父は必要に応じて答えて下さるお方です。
祈りによらなければ
「口をきけなくする霊につかれた息子」は、イエス様の祈りと御言葉の力で、その息子から出てゆきました。この光景を見た弟子たちがそっと、「私たちが霊を追い出せなかったのは、なぜですか」と尋ねると、キリストは、「この種のものは、祈りによらなければ、何によっても追い出すことができません。」(29)と答えられました。人間の力では解決できない事柄も祈ることによって、道が開かれてゆきます。
幼子のようにならなければ
御子が十字架に向かって歩みを進めている中で、弟子たちは、誰が一番偉いかを論じあっていました。その弟子たちにキリストは、「だれでも先頭に立ちたいと思う者は、皆の後になり、皆に仕える者になりなさい。」(35)と言われ、一人の子どもを彼らの真ん中に立たせ、腕を抱いて、「だれでも、このような子どもたちの一人を、わたしの名のゆえに受け入れる人は、わたしを受け入れるのです。また、だれでもわたしを受け入れる人は、わたしではなく、わたしを遣わされた方を受け入れるのです。」(37)と仰られたのでした。
         ※参考図書 「聖書に親しむ」-マルコに学ぶ- 斎藤正彦著

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