8月21日礼拝メッセージ

-マルコに学ぶ⑫-  「十字架への道Ⅰ」

聖書: マルコの福音書8章31-38節(新p83

メッセンジャー:高江洲伸子師

「あなたはキリストです」と答えた、ペテロの信仰告白に続いて、主イエスは、これからご自身が歩まれる十字架と復活の預言をされました。
神を思う思いか、人を思う思いか
「人の子は多くの苦しみを受け、長老たち、祭司長たち、律法学者たちに捨てられ、殺され、三日後によみがえらなければならない」(31)。
ところがペテロは、「イエスをわきにお連れして、いさめ始めた。」(32)のです。そのペテロにキリストは、「下がれ、サタン。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている。」(33)と厳しく叱責されました。この言葉は、マタイ16:23では「サタン、引き下がれ。あなたはわたしの邪魔をする者。」(聖書協会訳)と書かれています。人間的な見方でしかイエス様を見ることができないペテロのキリストへの配慮は、イエス様のお働きの邪魔をすることでしかなかったのです。このことは、私たち人間が神様のみ旨を判断するうえで、特に注意しなければならない重要なポイントです。

それから、キリストは、群衆を弟子たちと一緒に呼び寄せて、「だれでもわたしに従って来たければ、自分を捨て、自分の十字架を負って、わたしに従って来なさい。自分の命を救おうと思う者はそれを失い、わたしと福音のためにいのちを失う者は、それを救うのであす。」(34)と、仰られました。ここでの「自分を捨て」の「捨てる」と、「十字架を負って」の「負う」という動詞は、一度、意志的に決断することを意味していて、その覚悟で、「わたしについて来なさい」と、キリストは人々に語りかけたのでした。
ここで、「息子」という一つの話をご紹介したいと思います。
<絵画収集に情熱も燃やしていた大金もちの人がいました。彼には大切な一人息子がいましたが戦争が始まり、息子は出兵。戦場で息子は、仲間の兵士を助けようとして命を落としてしまいます。父親に息子の死が告げられて一か月後、助けられた人は自分が助けてもらった時の様子を絵に描いて父親に届けたのでした。その父親もやがて死に、父親の収集した絵はオークションにかけられることになりました。世界中から、父親が収集していた絵を求めてブローカーの人達が集まり、オークションが始まりました。その時、最初に出されたのは、息子が描かれていたあの絵だったのです。
「さて、落札される方」と主催者は尋ねますが、だ~れも手を挙げません。暫くして、後ろの方から、男が黙って手を挙げました。言った値段が10ドル。今だと1300円程でしょうか。それ以上、他の人々はだ~れも反応しない。主催者は絵を降ろさないまま、「100ドルではどうですか?」「200ドルではどうですか?」と問いかけますが、会場の人々は、「私たちはピカソやモネやレンブラントを買い付けに来ました。ちゃんとオークションをやりましょうよ。」と早く有名な絵を落札しようと構えています。けれど、主催者は全く無視して「息子」と題されたその絵を手から離そうとしません。「さあ、いかがでしょうか?どなたか落札される方はいませんか?」だ~れもいないので、10ドルでその絵は最初手を上げた貧しい男の人の手に渡されました。さて、いよいこれからが本当のオークションの始まりだ、とフロアに緊張感が漂った瞬間に、主催者は言います。「これにてオークションは終了しました。」「皆さんには申し訳ない。これが故人の遺言です。そして今の今まで誰にも漏らしてはいけない、というのも遺言です。遺言によりますと、残りすべての絵は、そして財産のすべては息子さんの肖像画を落札した人が譲り受けることになっています。『息子』の絵を迎えてくれた者がすべてを落札する、というのが、亡きご主人の遺言でありました。」

 この父親にとって、一人息子が全てでした。息子の絵を落札した人は、その絵を受け入れたことによって莫大な財産を得ることになったのです。御子を信じる者は永遠の命を得る、とは、そういうことです。「自分を捨て、自分の十字架を負って」キリストに従うということはそういうことです。一度、自分の打算を捨てて、意志的にこの方に従うと決心する時、私たちは一人子イエス・キリストを通して神からくる全てを受ける者とされるのです。
「自分の命を救おうと」して、つまり、自分の身を守るために全世界を手に入れたとしても、その命はこの地上のみで終わってしまう命です。けれど、世から見れば、十字架に引き渡された犯罪人としかみなされないイエス・キリストですが、「わたしと福音のためにいのちを失う者は、それを救うのです。」(35)と、主イエスは言われました。キリストに従う道は、世的には決して得な道ではありありませんが、実は真の命を得る道であると主イエスは言われているのです。

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