4月24日 礼拝メッセージ

「挫折に中に近づいて来られる復活の主」

聖書 : ヨハネの福音書21章15-22節

メッセンジャー:高江洲伸子師

2022/4/24 礼拝「挫折の中に近づいて来られる復活の主」ヨハネ21:15-22
先週は、赴任後初めて墓前礼拝をさせて頂きました。他教会も同時に墓前礼拝をされていて、鎌倉霊園中に賛美が溢れ、さながら御国の心地がしました。

ヨハネの福音書21章では、復活されたイエス様が弟子たちと食事をされた記事が書かれています。21書1節から読めば、更に弟子たちの状況が見えてきます。そこには7名の弟子たちがいたこと(2)、彼らは漁に出たものの不漁(3)だったこと等が分かってきます。かつてイエス様から神の国の働き人に対して、「働く者が食べ物を得るのは当然だから」(マタイ10:10)と教えられていましたが、漁に出かけるということは、生活の為の働きの場に帰っていたということです。彼らは復活の主にお会いし、喜んではいましたが、キリストの弟子としてのスピリットは回復されていません。特にペテロは十字架を前に主を否んだ自分を責め、真の弟子になれなかった挫折感から抜け出ることができないでいました。
そのようなシモン・ペテロに、イエス・キリストは1対1で向き合い、同じ質問を三度繰り返されました。なぜ三度でしょうか。それは、ペテロが三度イエス様を否んだからです(マタイ26:69-75)。
シモン・ペテロへの三度の問いかけ
「ヨハネの子シモン。あなたは、この人たちが愛する以上に、わたしを愛していますか。」(15)の問いかけ。それはかつて「あなたのためなら、いのちも捨てます」(13:37)と言ったペテロを思い出させる言葉でもあります。十字架以前のペテロは、「他の人はつまずいても、私は絶対つまずかない」と自負して止まない12弟子のリーダーでした。けれど、十字架を前にして三度主を否んだペテロは、復活後のキリストから、「アガパオー」(全身全霊で愛しますか)の問いかけに、「フィレオー」(好きです)としか答えられません。
二度目、イエス様は、「ヨハネの子シモン。あなたはわたしを愛していますか」(16)と尋ねられましたが、ペテロの返事は、やはり、「フィレオします」と反復することしかできません。三度目はイエス様の方が「ヨハネの子シモン。あなたはわたしをフィレオしますか」と、ペテロの思いと言葉に合わせて近づかれています。アガぺ(名詞)もフェイレオ(名詞)も日本語に訳せば「愛」の一言で訳されることばですが、原語的にはアガぺは神の愛を表し、フィレオは友達のように好きであることを意味しています。ペテロは三度目の問いかけに「心を痛めて」(17)、「主よ、あなたはすべてをご存知です。あなたは、私があなたを愛していることを知っておられます。」(17)と答えることしかできません。フィレオするとしか返答できない、挫折感から抜け出せないでいるペテロでしたが、復活の主は、「わたしの羊を飼いなさい。」(17)と、大切な神の羊を託されたのです。
神の信任
またダメになるかもしれないと思っている人に、あえて、大切な任務を託す人がいるでしょうか。けれど、主イエスは自分を責め続け、弱さと不安の中で前に進めないでいるペテロを信任しました。私たちは自分を裏切る者や背を向ける人に何かを頼むことはしません。イエス様がペテロに大切な働きを任じたことは、まさに、完全にペテロの背反を赦していることの証でもあります。
自分の弱さをそのまま認めることが主に従う第一歩です。ペテロは自分こそは大丈夫だと言って憚らなかった時に(13:37)、イエス様からは、「あなたは…わたしを知らないと言います」(38)と直言されました。肉の弱さに翻弄するヨハネの子シモンでしかないペテロを主はご存知でした。けれど、失敗はペテロを変えました。弟子としての自信が砕かれたペテロに主は近づかれて、新約の教会を託されたのでした。挫折を知らなかったペテロは、自分ならば立派にやりぬける、イエス様の為ならば命をも捨てると本当に思っていたことでしょう。人は自分の抱く誇りの為に死ぬことも覚悟するかもしれません。ペテロもまた弟子としての「誇り」の為に命をかけることもあることを主イエスはご存知でした。十字架後の新約のリーダーとして用いられる為には、そこが砕かれる必要がありました。イエス様は、「誇り」だけでなく、一人一人のことばの奥に潜む肉の思いを取り扱われ、自我の誇りから解放されてご自身がご自由に用いることができる器を求めておられます。
「わたしに従いなさい」と御声をかけられたペテロは、ヨハネを見て、「この人はどうなのですか」(21)と尋ねました。そのペテロに、復活の主イエスは、ただ、「…あなたは、わたしに従いなさい」と語られました。主の御声に従うところから、私たちのうちにもまた回復と主の御業は始まってゆきます。

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