2月20日 礼拝メッセージ

「わが恵み、汝に足れり」 

聖書:コリント人への手紙第二12章7-10節

メッセンジャー:高江洲伸子牧師

コリント人への第二の手紙を1章から読んでいて気が付いたことがあります。
5節の「苦難があふれ」に対して「慰めもあふれ」と書かれていること。
24節では「支配しようとする者」に対して「協力して働く者」。
3章6節「文字は殺し」「御霊は生かす」。4章17節「一時の軽い苦難」「重い永遠の栄光」。
18節「見えるものは一時的」「見えないものは永遠」と、各所で対比的にこの世と霊の世界の違いを描いているのです。
そして、10章17節に来ては、「肉の誇り」(世に属する)に対して、「主を誇れ」(霊に属する)と、肉の働きへの警戒心を露わにするのです。
それは、当時、コリントの教会に偽教師たちが入り込んできていたからです。
パウロは、彼らの中にあった「肉の働き」「肉の誇り」が如何に神の恵みの世界とは異なるものであるかを釈明しようとしています。

10章で「主を誇れ」と言ったパウロは、11章では「弱さを誇ります」(30)と言い、12章では、順々と弱さの中に働く絶大な神の恵みを証明してゆきます。
“「その啓示のすばらしさのために高慢にならないように、私は肉体に一つのとげが与えられました。
それは私が高慢にならないように、私を打つためのサタンの使いです。」”(7)
「肉体のとげ」は、体の弱さを表しているとされています。
それは、復活の主の強い光に当てられた後、パウロは眼病を患うことになったのではなかろうか、とか、
様々な説が説かれる中で、それが何を指しているかは不明であったとしても、パウロはどこか体の一部に弱さがあったことを表しているとされています。
けれど、その「肉体のとげ」である「弱さ」が、むしろ「めぐみの杖」とされ、サタンが引き出そうとする「高慢」になることから自分を守ってくれているとパウロは言うのです。
続いて、8節で癒しを求めて祈ったパウロへの神の答え書かれています。
 “しかし主は、「わたしの恵みはあなたに十分である。わたしの力は弱さのうちに完全に現れるからである」と言われました。”(9a)
  ここを、新共同訳では、「わたしの力は、弱さの中でこそ十分に発揮されるのだ」と訳しています。
「十分に発揮される」は「力強い」「巨大」(ドイツ語)と言う意味があります。
また、「十分である」は、「あった」という過去でもなく、「あるだろう」という未来でもなく、「常に十分であり続ける」という現在形で、「神からの力が弱さの中に完全に現れ続ける」と、癒しを祈り求めたパウロに神様は語られたと言うのです。
更に、「弱さ」は「病、困難、苦しみ、無力さ」、「とげ」は「パウロに痛みと苦しみをもたらしたもの」で、「病、困難、苦しみ、無力さ」と同義語。ですから、「とげ」である弱さや苦しみを与えられた目的は、「キリストの復活の力が完全に現れるため」であると言っているのです。
私たちに弱さや苦しみが与えられる理由をここに見ます。
苦難の中で、神は復活の力を現わそうとされていると受けとめることができます。
パウロは、そこから逆説的に神の恵みと力が及ぶ様を説いて、私たちが弱ければ弱いほどそこにキリストの力が現わされると言うのです。
それゆえパウロは、“ですから私は、キリストの力が私をおおうために、むしろ大いに喜んで自分の弱さを誇りましょう、“(9b)と、大胆に弱さを誇っているのです。
それだけなく、“「ですから私は、キリストのゆえに、弱さ、侮辱、苦悩、迫害、困難を喜んでいます。」”(10)と、
弱さを「誇る」だけではなく、パウロは弱さを喜ぶとまで言うのです。
ここで、9節の「自分の弱さを誇る」は、10節の「ですから」で繋がれ、「私は、キリストのゆえに、弱さ、侮辱、苦悩、迫害、困難を喜ぶ」と同じ様を表しています。
キリストの力がそこに現わされるからです。

“というのは、私が弱いときこそ、私は強いからです。”(10)
これは、決してパウロの強がりではありません。「弱さ」の語源は、「敵に打ち破られること」で、サウロ(後のパウロ)がサタンの使いに打ち破られることを神はお許しになった。
それは、「三度、主に願った」(8)は、「繰り返し、絶え間なく願った」様を表していて、パウロは何度も主にその病の癒しを願ったにも関わらず、主は、「わたしの恵みはあなたに十分である。」と語られて、病が癒されたのではなかった。これは、神様が癒しの方法で栄光を現わされるのでなく、神様には弱さを抱えたままで栄光を現わされる十分な恵みがあるということ。
であれば、サタンのとげに悩まされていても、神の力は完全にそこに現わされるという確信です。
弱さの内にこそ完全に現れる神からの力に期待しましょう。実に、「私が弱いときこそ、私は強いからです」。

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